7大総合商社を徹底比較
資源依存度・事業の違い・株主還元方針
三菱商事・伊藤忠・三井物産・住友商事・丸紅・豊田通商・双日
① 7社のいま(2026年3月期決算・2027年3月期予想)
※伊藤忠は2026年1月、住友商事は2026年7月に株式分割(伊藤忠1→5、住友商事1→4)を実施。配当額は分割後ベースで記載。
② そもそも総合商社って何をしている会社?
「商社って結局なにで儲けてるの?」と聞かれると、意外と説明しづらいですよね。一言でいうと、原料の調達から製品の販売まで、世界中のあらゆる業界の「つなぎ役」をしながら稼ぐ会社です。
石油・天然ガス・鉄鉱石といった資源から、食品・自動車・医薬品・不動産・ITまで、商社が関わっていない業界はほとんどありません。トレーディング(売買の仲介)で稼ぐだけでなく、自分たちで資源権益や事業会社に出資して、その利益も取り込む「事業投資」のビジネスモデルに進化しているのが今の総合商社です。
③ 7社の「ちがい」を3つの軸で見る
軸1:資源への依存度
資源色が濃い:三菱商事・三井物産
LNG・銅・鉄鉱石・原料炭など資源権益を多く持つため、資源価格や為替(円高・円安)の影響を強く受けます。市況が良いときの伸びは大きいですが、下落時の振れ幅も大きいのが特徴です。
非資源(生活密着型)に強い:伊藤忠・丸紅
伊藤忠はファミリーマートなどの「川下」ビジネス、丸紅は食料・アグリなど生活に近い事業の比率が高め。資源価格の変動に左右されにくく、業績が安定しやすい構造です。
中間タイプ:住友商事・豊田通商・双日
住友商事はデジタル・リース・不動産など8つの成長分野に投資を分散。豊田通商はトヨタグループとの関係が強く自動車関連が主力。双日は航空・社会インフラとエネルギーが両輪です。
軸2:各社の事業ポートフォリオの特色
三菱商事
資源(LNG・銅・原料炭)×非資源(ローソン等)の両輪。事業規模・利益額は7社最大級
伊藤忠商事
「利は川下にあり」の経営哲学。ファミマ・繊維・食料など消費者に近い事業が主力
三井物産
金属資源・エネルギーに強み。米国シェールガスなど海外資源権益が多い
住友商事
デジタル(SCSK完全子会社化)・航空機リースなど成長8分野に分散投資
丸紅
食料・アグリ、金属(チリ銅事業)に加え金融・リース・不動産も伸長中
豊田通商
トヨタグループの一員として自動車関連が主力。アフリカ事業にも強み
双日
航空・社会インフラとエネルギー・ヘルスケアが柱。7社の中では規模は小さめ
軸3:株主還元の方針
7社とも「累進配当」(前年より配当を下げない方針)を採用している点は共通しています。ただ増配のペースや総還元性向の目安には差があります。
一度上げた配当を、業績が落ち込んでも基本的には下げない方針のこと。「下げない」という約束があることで、長期で株を持つ側は安心しやすくなります。
④ 株価指標で見る「割安・割高」
業績や配当方針だけでなく、今の株価が「割安か割高か」を見るための指標もチェックしておきましょう。初心者向けに、まずは基本用語を確認します。
株価が「1株当たり利益(EPS)」の何倍まで買われているかを示す指標です。数字が低いほど「利益に対して株価が割安」とされます。商社株は歴史的に10〜15倍前後で推移することが多い業種です。
株価が「1株当たり純資産(会社の解散価値に近いもの)」の何倍まで買われているかを示す指標です。1倍を下回ると「資産価値より株価が安い」状態とされ、東証も上場企業に1倍超えを促す方針を出しています。
7社の株価指標一覧
※配当利回りは株価と各社27年3月期予想配当額から算出(実績配当ではなく来期見通しを反映)。住友商事は2026年7月の株式分割前のデータです。株価・指標は日々変動するため、ご覧になる時点の数値とは異なります。
⑤ 2027年3月期は7社とも増益予想
今回の決算で目立ったのは、7社全社が来期(2027年3月期)増益を見込んでいることです。中でも三菱商事は前期比+37.4%と大幅な伸びを計画していますが、これは前期(2026年3月期)の資源安・円高による落ち込みからの反動という側面もあります。一方、伊藤忠商事は増益率自体は控えめですが、2期連続で過去最高益を更新しており「安定して稼ぎ続ける力」が際立ちます。
双日も前期比+25.5%と大きな伸びを見込んでいますが、これも前期の金属・資源・リサイクル部門の減益からの回復が主因です。
⑥ メタの見方
保有状況とポートフォリオの考え方
三菱商事 51株8058 伊藤忠 5株8001 丸紅 8株8002 住友商事 4株8053 豊田通商 12株8015 双日 9株2768
現在、三井物産だけ未保有です。三井物産は資源色が強く、すでに三菱商事を多めに保有しているため、似た性格の銘柄が重なる点は意識しておきたいところ。一方で7社それぞれ強みが異なるため、結果的にバランスの取れた構成になっています。
7社とも累進配当を掲げており、減配のリスクは比較的低いと見ています。当面は売却の予定はなく、各社の決算発表のたびに増配・事業方針をチェックしていく方針です。

